運行管理者の主な業務内容
運行管理者の主な業務内容として以下のものがあります。
- 労務管理
- 車両管理
- 安全管理
- 運行ルート管理
- スケジュール管理
- ドライバーへの指導・監督
順番に詳しく解説します。
労務管理
運行管理者が行う労務管理には人・時間・設備に対する管理があります。
具体的な内容と効果を表にまとめましたのでご覧ください。
左右にスライドすると表を見ることができます
労務管理の種類 |
具体的な内容 |
管理がもたらす効果 |
運転者の管理 |
点呼の実施 |
- 酒気帯びの有無、体調の確認ができる
- 業務に必要な情報交換ができる
- 運転者とのコミュニケーションが図れる
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労働時間の管理 |
運転者ごとに拘束時間・勤務時間・運転時間などを把握 |
- 長時間労働、過労運転を予防
- 交通事故・労災事故などから従業員と家族を守る
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施設・設備の管理 |
施設・設備の新設・点検・修理など |
- 働きやすい環境をつくる
- 社員のモチベーションが上がる
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車両管理
運行管理者が行う車両管理には台数・整備・点検の3つがあります。
こちらも表にまとめましたのでご覧ください。
左右にスライドすると表を見ることができます
車両管理の種類 |
具体的な内容 |
管理がもたらす効果 |
自動車の台数管理 |
所有台数・稼働率 などを確認する |
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車両整備の管理 |
- 整備管理者などから点検・整備作業の報告を受ける
- 報告内容に応じて修理や代替車両の手配などの対策を講じ、指示をする
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- 故障・不具合などに速やかに対応できる
- 事故や運行遅延を防げる
- 整備費用を削減できる
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車検・法定点検の 管理 |
車両ごとの車検・法定点検の日程を把握する |
- 1日の使用可能車両数がわかる
- 車両不足による運行遅延・納期遅れなどを防げる
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安全管理
安全管理には体調管理や安全に対する意識とスキルの管理があります。
具体例や効果をまとめましたので参考にしてください。
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安全管理の種類 |
具体的な内容 |
管理がもたらす効果 |
運転者の体調管理 |
点呼で酒気帯びの有無や顔色・動きなどから体調を判断する |
- 体調が万全でない運転者が無理に運転するのを防ぐ
- 事故防止につながる
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運転者の安全意識・スキル管理 |
定期的な講習・研修を実施する |
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励行作業・禁止作業を周知する |
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事故防止作業(ロープ・シート掛けなど)の指導を行う |
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運行ルート管理
運行ルート管理は運行管理者のスキルが最も問われる業務の1つです。
適切なルート選びは納期遵守による顧客満足度の向上、効率的な配送による運転者の労働時間短縮や負担軽減などさまざまな効果をもたらします。どのルートを選び、運転者に指示するかは毎日の状況に応じて変わります。運行管理者はドライバーからスキルアップして着任する方も多いので、ドライバー時代の経験を活かすとより管理がスムーズに進むでしょう。
例をまとめましたので参考にしてください。
左右にスライドすると表を見ることができます
ルート管理の判断基準 |
具体な対応例 |
指示内容 |
天候 |
悪天候 |
- 早めのスタッドレスタイヤの装着
- タイヤチェーンの携行
- 天候が回復するまで待機
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時間・場所 |
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- 通学時間帯は通学路を通らない
- 「ゾーン30」エリアの通行は最小限にする
- 通る場合は規制速度を厳守させる
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車種 |
大型車に対する規制 |
- 大型車通行禁止道路を大型車で運行させない
- 大型車両通行許可証を取得、運転者に携行させる
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不測の事態 |
事故・道路工事など |
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スケジュール管理
スケジュール管理では納期の設定と運行スケジュールの作成が求められます。
まず、納期は無理のない日程にしなければなりません。効率化を追い求めすぎてギリギリの日程を組むと、運転者が無理な運転をしやすくなります。事故などでかえって納品が遅れる可能性が高まり、顧客満足度や信頼度が下がる原因になります。何より大切な運転者を危険にさらすことになります。
また、運行スケジュールは法令遵守が大原則です。守るべきポイントの例を挙げておきます。
- 1日の拘束時間
- 連続運転時間
- 適度な間隔で一定以上の休憩時間
- 勤務間インターバル制度を考慮した休息期間
さらに運転者個々のスキルや経験を考慮した調整を行い、疲労が蓄積しないスケジュールの作成に努めなければなりません。
ドライバーへの指導
ドライバーへの指導も運行管理者の大切な業務です。
例えば、点呼や日常点検をルールに従い毎日確実に行っているか定期的に確認し、必要に応じて指導を行います。
単にルールを徹底させるだけでなく、「なぜ点呼や日常点検を毎日やるのか」「やるのとやらないのとでどのような違いが生じるのか」をドライバーに理解してもらえると、面倒だが大事と気づいてもらえてドライバーの行動が変わります。
他にも、定期的な研修は運転者の安全意識を保つために効果的な指導法です。
研修の例として、ドライブレコーダーの記録からヒヤリハット事例をシェアし、対策や心構えなどをドライバー同士で話し合うなど、安全運転を意識するきっかけを継続して与え続けます。
ドライバー同士で話し合って決めたことは管理者から指示されたことより「自分たちで決めたことだから」と行動に移しやすくかつ継続しやすいです。指導ではドライバーの自主的な行動を導くことを意識すると良いでしょう。